暗号資産の利確は2028年の20%まで待つべき?税率差を4パターンでシミュレーション

暗号資産の利確は2028年の20%まで待つべき?税率差を4パターンでシミュレーション

暗号資産の税金が2028年から20%になるなら、利確は2028年まで待った方が得なのでは?

税制改正のニュースを見て、こう考えた方は多いはずです。たしかに最大55%と20%の差は無視できるものではない。

しかし、全員が利確を待つ必要はありません。所得によっては、法律改正前に売る方が税金が安くなる場合があるからです。

この記事では、具体的な数字でシミュレーションしながら、「待つメリットが大きい人」「待つ意味がほぼない人」の線引きをはっきりさせます。

【この記事の前提】
2026年7月27日時点の情報に基づいています。申告分離課税20%の適用開始は「2028年1月1日」が有力な見込みですが、正式な日付はまだ政令で確定していません。制度の全体像は暗号資産の税金20%はいつから?で解説しています。

暗号資産の利確をするかどうかは現段階のあなたの課税率で決まる

暗号資産の利確判断

現在の暗号資産の税金は、給与などと合算して税率が決まる総合課税です。税率は人によってバラバラで、15%の人もいれば55%の人もいます。

  • 今の税率が20%より高い人 → 待つと税金面では有利になる
  • 今の税率が20%以下の人 → 待っても得しない。むしろ損する場合もある
緑茶好き
緑茶好き

総合課税の場合は所得が少なければ税率も低い。所得の少ない人にとっては、今の税制の方が20%より安いことがあるんだ。ここを見落としている解説が多いぞ。

「今の自分の課税率」を知ろう

総合課税率

暗号資産の利益にかかる税率は、「所得税(5〜45%の累進)+住民税(一律10%)」です。所得税の税率は、給与などを含めた課税所得の合計で決まります。

課税所得の合計所得税率住民税込みの税率
195万円以下5%15%
195万円超〜330万円10%20%
330万円超〜695万円20%30%
695万円超〜900万円23%33%
900万円超〜1,800万円33%43%
1,800万円超〜4,000万円40%50%
4,000万円超45%55%

※課税所得=収入そのものではなく、各種控除を引いた後の金額です。会社員なら源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から所得控除を引いた額が目安になります。

※別途、復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかります。

表を見てわかる通り、課税所得の合計が330万円以下なら、今でも税率は15〜20%。新制度の20%と変わらないか、むしろ低いのです。

新制度になる前に暗号資産を売るべき?

新制度導入まで、暗号資産を売るべき?

暗号資産で300万円の利益を確定した場合の税額を、立場の違う4人で比べてみましょう。

立場(暗号資産以外の課税所得)今売った場合の税金20%なら待つと得する額
収入がほぼない人(0円)約50万円(実効16.8%)60万円▲約10万円の損
パート・若手会社員(200万円)約77万円(実効25.7%)60万円約17万円
中堅会社員(500万円)約93万円(実効31.1%)60万円約33万円
高所得の会社員(900万円)約129万円(実効43.0%)60万円約69万円

同じ300万円の暗号資産の利益でも、税金は「マイナス10万円」から「プラス69万円」までと、収入によって大きく変わります。

まほこ
まほこ

収入が少ない年に売ると税率が低くなるので、「所得の少ない年に少しずつ利確する」というのはありです。

利確を待つ間に値下がりした場合の損益分岐点

税金にこだわりすぎて、暗号資産価格が下がってしまっては本末転倒

待つメリットがある人でも、忘れてはいけないのが価格変動です。税金で得しても、それ以上に暗号資産が値下がりしたら本末転倒

先ほどの中堅会社員(暗号資産以外の課税所得500万円)で見てみましょう。

100万円で買ったコインが400万円になり、含み益が300万円。2028年開始予定の新制度、(一律20%課税)まで待って売れば、税金は約33万円安くなります。

ところが、待っている間に持っている暗号資産価格が約10%(400万円→約360万円)下がると、この33万円の得はそっくり消えてしまいます。

同じ条件で、「何%値下がりしたら税金の得が消えるか」を3人分計算した結果がこちらです。

立場(暗号資産以外の課税所得)待つと税金で得する額得が消える値下がりライン
パート・若手会社員(200万円)約17万円約5%
中堅会社員(500万円)約33万円約10%
高所得の会社員(900万円)約69万円約22%

高所得の会社員は、含み益300万円の暗号資産が22%下がってやっとトントン。給与所得が高い人ほど下落率に耐えられる幅が大きいです。

一方、若手会社員はたった5%の値下がりで帳消しです。現状、ビットコインが1年半で5%動かないことはないですから、低所得者ほど、暗号資産を売るタイミングは重要です。

税率以外に効いてくる4つの注意点

暗号資産の税率以外で効く4つの注意点

「新制度まで待つか、今売るか」を税率差だけで決めるのは危険です。次の4点もあわせて確認してください。

① 適用開始日はまだ確定していない

「2028年1月1日から」は有力な見込みであって、確定ではありません。金商法改正の施行日を定める政令はこれからです。「2028年になれば必ず20%」という前提で資金計画を立てるのはまだ早いです。

② 20%になるのは「国内取引所で売った特定暗号資産」だけ

DEXや海外取引所で売却する予定なら、総合課税のままになってしまいます。保有銘柄が「特定暗号資産」に入るかどうかもまだ正式に決まっていません。

国内取引所に上場していないマイナー銘柄を持っている人は、売却をそもそも待つ意味がない可能性があります。

③ 扶養や社会保険への影響は20%になっても残る

分離課税になっても、利益は「合計所得金額」に算入されます。

緑茶好き
緑茶好き

扶養控除の判定や国民健康保険料への影響は、新制度でもなくならない。扶養内のかたは要確認だ。

④ 損失が出ている場合はむしろ「新制度後」が有利

今の雑所得では損失を翌年に繰り越せませんが、新制度では3年間の繰越控除が使えます。

含み損の銘柄の損切りは、新制度開始後なら将来の利益と相殺できるようになります。利確だけでなく損切りのタイミングにも、この改正は関係してきます。

暗号資産の売買では税金に重点を置きすぎない

税金だけを見て、暗号資産の売る売らないの理由にしない。

ここまでの内容を、タイプ別の目安としてまとめます。

  • 課税所得の合計が330万円以下になりそうな人:今売っても税率15〜20%。税金のために新制度を待つ理由はほぼない
  • 課税所得695万円超の会社員で利益が大きい人:税率差が10%以上あり、新制度を待つメリットは大きめ。ただし「得が消える値下がりライン」の範囲内かを確認
  • 扶養に入っている人税率より「合計所得金額」への影響が先
  • DEX・海外取引所メインの人/マイナー銘柄保有の人:新制度を待っても20%にならない可能性大。制度の詳細確定を待って判断

そして全タイプに共通する大原則がこれです。

税金は「売る理由」にも「売らない理由」にもしない。

売りたい価格・必要な時期という投資判断が先で、税金はその次に最適化するもの。順番を逆にすると、税金を節約して投資で大損する結果になりがちです。

暗号資産売買について、よくある質問(FAQ)

暗号資産の売買について Q&A

Q. 2027年中に売った場合はどうなりますか?

適用開始前なので、従来どおり雑所得の総合課税です。適用は「金商法改正の施行日が属する年の翌年1月1日以後の譲渡」からで、2027年中の売却は対象外となる見込みです。

Q. 数年に分けて少しずつ利確するのはアリですか?

総合課税は1年ごとの所得で税率が決まるため、1年に集中して売るより、複数年に分けた方が低い税率帯に収まりやすいのは事実です。

特に新制度開始までの2026年・2027年に売る予定があるなら、有効な考え方です。

Q. 20%になってから売れば確定申告は不要になりますか?

いいえ。「申告分離課税」という名前の通り、確定申告そのものは必要です(税率の計算方法が変わるだけです)。申告の基本的な流れは暗号資産の確定申告ガイドを参考にしてください。

Q. 積立はどうすればいいですか?

積立は「買う」行為なので、今回の改正とは直接関係ありません。買った時点では課税されないため、これまで通り続けて問題ありません。積立の考え方はビットコイン積立のはじめ方で解説しています。

まとめ:まず自分の所得から税率差を計算して、暗号資産の売却時期を考えよう

暗号資産の売却時期は自分の所得から考える
  • 新制度を待つメリットは所得次第。課税所得330万円以下なら今でも税率15〜20%で、待つ意味はほぼない
  • 高所得者ほどメリット大(課税所得900万円なら300万円の利益で約69万円の差)
  • ただし新制度適用開始日は未確定。「2028年に必ず税率20%になる」を前提にしない
  • DEX・海外取引所・対象外銘柄は新制度導入を待っても税率20%にならない
  • 投資判断が先、税金の最適化は後。順番を逆にしない

制度そのものの解説(対象銘柄・繰越控除・スケジュール)は、暗号資産の税金20%はいつから?申告分離課税で変わること・変わらないことにまとめています。あわせてご覧ください。

※本記事は2026年7月27日時点の情報に基づく一般的なシミュレーションです。税額は各種控除により個人ごとに異なります。個別の税務判断は、必ず税理士または所轄の税務署にご相談ください。