「暗号資産で遊んでいたら利益が出たんだけど、親の扶養から外れたりしない…?」

結論から言うと、暗号資産の利益が年58万円を超えると、扶養してもらっているかたの扶養控除が使えなくなり税金が増えます。
扶養してもらっている人の立場(学生、主婦、親)によって、控除の減額などが異なります。
この記事では、2025年の税制改正後の最新の数字で、「税金の壁」と「社会保険の壁」の2つを整理し、いくらまでなら扶養内で利確できるのかを具体例で計算します。
扶養の壁は「税金」と「社会保険」の2種類ある

「扶養から外れる」とひとことで言われますが、実際には別々の制度が2つあります。まずここを分けて考えるのが出発点です。
| 給与所得なしの暗号資産だけの所得 | 何の制度か | 超えるとどうなる |
|---|---|---|
| 合計所得58万円超え | 税金が安くなるための(扶養控除) | 控除が使えなくなり、扶養してくれている人の税金が増える |
| 年収130万円超え | 社会保険(健康保険の被扶養者) | 社会保険の扶養を外れ、自分で保険料を払う(年30万円前後) |
暗号資産は「雑所得」なので、暗号資産取引に使った手数料などは経費にできます。儲けから経費を引いた残りの利益が所得です。
暗号資産取引で経費にできるもの
- 取引手数料(送金手数料、入金手数料など)
- 暗号資産の勉強に使ったもの(書籍、セミナー代など)
- 暗号資産取引に使ったネット代の一部
- 暗号資産取引に使った端末料金の一部
- 暗号資産取引に使った電気代の一部
暗号資産の利益に「給与所得控除」は使えない

扶養控除が適用されるかどうかは、「合計所得金額が58万円以下かどうか」で判定されます

要するに基礎控除額が58万円あるってことだな。
- 基礎控除というのは
- 納税者に一律で適用される控除。基礎控除58万円は2025年・令和7年分の所得税(2026年はじめに実施された確定申告)から。それまでは48万円でした。
給与には「給与所得控除」という自動の割引が最低74万円分あるので、給与132万円−74万円=所得58万円となり、「給与だけなら132万円まで稼いでOK」ということになります。
暗号資産の利益は原則「雑所得」で、給与所得控除はありません。基礎控除だけが使え、基礎控除を引いた残りの利益がそのまま合計所得に上乗せされます。

カウントされるのは売却や交換で確定した利益だけです。持っているだけの含み益は、いくら増えていても扶養控除の判定には含まれません。
扶養控除が使えなくなってしまう条件

扶養されている者が合計所得58万円を超えたとき、扶養している家族が扶養控除を使えなくなります。結果、支払う税金が増えます。
| 扶養されている人の立場 | 家族が受けている控除(所得税) | 合計所得58万円を超えると |
|---|---|---|
| 16〜18歳、または23歳以上の子・親族 | 扶養控除 38万円 | 控除38万円がまるごとゼロになる |
| 19〜22歳(大学生年代)の子 | 特定扶養控除 63万円 | 特定親族特別控除に切り替わり段階的に減る(次の章) |
| 配偶者(妻・夫) | 配偶者控除 38万円 | 配偶者特別控除に切り替わり、所得95万円までは38万円のまま。133万円まで段階的に減る |
たとえば、あなたが23歳以上で親の扶養から外れたとします。親が使える扶養控除38万円は使えなくなり、親の税金は年7万〜11万円ほど増えます。
※金額は目安です(所得税の控除38万円と住民税の控除33万円が同時に使えなくなった場合、親の収入が多いほど親が払う税金の増える割合も大きくなります。
19歳以上〜23歳未満は所得85万円までは親の控除63万円がフルで使える

2025年の改正で、19歳以上23歳未満(12月31日時点)の子については「特定親族特別控除」という新しい仕組みができました。

合計所得が58万円を超えても、親の控除がいきなりゼロにならず、段階的に減っていきます。
| 子の合計所得金額 | 親の控除額(所得税) |
|---|---|
| 58万円以下 | 63万円(特定扶養控除) |
| 58万円超〜85万円以下 | 63万円(満額のまま) |
| 85万円超〜90万円以下 | 61万円 |
| 90万円超〜95万円以下 | 51万円 |
| 95万円超〜100万円以下 | 41万円 |
| 100万円超〜105万円以下 | 31万円 |
| 105万円超〜110万円以下 | 21万円 |
| 110万円超〜115万円以下 | 11万円 |
| 115万円超〜120万円以下 | 6万円 |
| 120万円超〜123万円以下 | 3万円 |
| 123万円超 | 0円 |
19歳以上〜23歳未満(配偶者を除く)社会保険の壁は130万円ではなく150万円

親や配偶者の健康保険の「被扶養者」でいられるのは、原則年間収入130万円未満の場合です。2025年10月からは、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満に引き上げられました。
税金の壁との違いは3つあります。
- 判定は「所得」ではなく「収入」ベース(給与所得控除を引く前のバイト代で数える)
- 暗号資産の利益を収入に含めるかどうかは加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合)ごとに扱いが異なる。「これからも続く収入」とみなされると数に入れられる
- 被扶養者から外れた場合は控除が減るのではなく、国民健康保険+国民年金の保険料がまるごと発生する(20歳以上なら年間30万円前後の支払いになることも)
暗号資産の利確をする前に、親や配偶者の勤務先の健康保険に「暗号資産の一時的な利益も収入に入りますか」と聞いておくのが吉です。
「税金の控除額」と「社会保険の被扶養者」に関しての事例を紹介しておきます。
大学生(20歳)・バイト年96万円の場合
バイト96万円の給与所得は(96万−65万)で31万円。ここに暗号資産の利益額を足して判定します。
※65万は給与所得控除
| 利益額 | 合計所得(給与所得31万を足した額) | 親の控除額 | 社会保険(150万円基準) |
|---|---|---|---|
| 27万円 | 58万円 | 63万円のまま | セーフ |
| 50万円 | 81万円 | 63万円のまま(合計所得が85万円以下) | バイト代96万と合わせて146万円でセーフ |
| 80万円 | 111万円 | 11万円に減少 | バイト代96 万と合わせて176万円でアウト |
「80万円利確」のパータンを深堀りすると、親の控除が63万円から11万円になり、控除額が52万円減りました。このことで親の税金が年間13万円ほど増える計算です。
大学生の子は社会保険の扶養から外れ、自分で払う国民健康保険と国民年金が年間約30万円前後。
暗号資産の価格は80%減とかは当たり前の世界なので、自分で社会保険料払うことになっても、勝っているうちに利確するのも一ついい判断軸です。
親の税金は所得税と住民税の合計の目安です(親の所得税率20%で計算)。国民健康保険料は住む地域と年収で変わります。
配偶者の暗号資産の利確はいくらまでなら扶養内に?

ここでは配偶者の税金の壁と社会保険の壁を見ていき、暗号資産の利益がどのように左右するのかを解説します。
夫の扶養を受けている主婦のパート年収100万円の場合
配偶者(妻)の合計所得95万円までは、夫は配偶者特別控除38万円が使えて、夫の税金は安くなる。
配偶者のパート年収100万円の場合、配偶者の暗号資産の利益60万円までは、夫は配偶者控除38万円が満額使える計算。(年収100万-給与所得控除65万+暗号資産の利益60万=95万)しかし、社会保険の扶養からは外れる。

暗号資産と給料を足した額が130万円を超えると、自分で社会保険料(国民健康保険料と国民年金)を支払わなければならなくなるぞ
なぜなら、年収100万円+暗号資産の利益60万円=160万円になり、社会保険の扶養を受けられる130万円の壁を超えるため。

社会保険の扶養の計算には、給与所得控除65万円が使えないんです。
なので、配偶者で扶養を受けている人は、一番に社会保険の壁である130万円を超えるかどうかを意識しておかないといけません。
扶養内に収めたい人のチェックリスト
- 利確前に「今年の給与所得+確定済みの利益」を集計する。暗号資産同士の交換やステーブルコインへの退避でも利益は確定する点に注意
- 20万円ルールで確定申告が不要でも、扶養判定には利益の全額がカウントされる(申告の要否と扶養は別問題)
- 扶養を受けている者が年末調整で書く扶養の見込み所得に、暗号資産の利益も正しく伝える。後から発覚すると勤務先経由で控除の是正・追徴が入る
- 社会保険の扱いは加入先の健康保険に直接確認する(保険者ごとに異なるため)
- 年末ギリギリの利確は、税金や社会保険の壁との金額を計算してから。利確は翌年に回すのもあり。

2028年に始まる予定のの20%分離課税でも、利益は扶養の判定に数えられるって本当?

本当だ!20%分離課税になっても、扶養判定のルールは変わらない。分離課税の最新情報の記事で確認してくれ。
暗号資産利益が出たときの、扶養がらみのよくある質問(FAQ)

Q. 含み益が100万円ありますが、扶養から外れますか?
外れません。扶養判定に入るのは売却・交換などで確定した利益だけです。ただし「日本円にしていないから大丈夫」は誤解で、暗号資産同士の交換やステーブルコインへの交換でも利益は確定します。
Q. 暗号資産の利益が58万円を超えたら、自分の税金はどうなりますか?
あなた自身の所得税は、基礎控除の額である95万円まではかかりません(2026年時点)。95万円の基礎控除額は所得132万円以下のかたが受けられる控除額です。
「親が使える控除額は減るのに、自分の所得税はゼロ」という状態がごく普通に起こります。
ただし住民税は所得45万円あたりから発生し、自分で申告が必要になる場合があります(金額の基準は自治体で少し違います)。
Q. 親に知られずに処理できますか?
扶養の仕組み上、ほぼ不可能です。あなたの所得が58万円を超えると、親が申告した扶養控除との食い違いが税務署・市区町村側で判明し、親の勤務先経由で控除の是正(追徴)の連絡が届くのが典型パターンです。
事後にバレて気まずくなるより、利確前に相談するほうが賢明です。
Q. 一度扶養から外れたら、もう戻れませんか?
戻れます。税金の壁は1年ごとにリセットされ、翌年の所得が58万円以下なら控除も復活します。社会保険も、収入が基準内に収まる見込みになれば再度扶養認定を受けられます(手続きと審査は保険者ごとに必要です)。
まとめ:扶養を受けている者は暗号資産利確の前に「税金の壁と社会保険の壁」の金額を把握しよう

- 扶養の壁は税金(合計所得58万円)と社会保険(年収130万円・大学生年代150万円)の2種類
- 暗号資産の利益には給与所得控除がなく、利益がそのまま合計所得に乗る。
- 大学生年代(19〜22歳)は特定親族特別控除により合計所得85万円まで親の控除は満額、123万円までは段階的に控除額が減る。
- 配偶者は所得95万円まで控除38万円が維持されるが、社会保険の130万円の壁には注意。
- 暗号資産の利益額、社会保険の扶養に入れるかどうかは、扶養を受ける会社が入っている健康保険組合次第。
制度の一次情報は国税庁:扶養控除(No.1180)、社会保険の150万円基準は日本年金機構のお知らせをご確認ください。利益が20万円を超えて申告が必要になった場合の手順は暗号資産の確定申告ガイドで解説しています。
※本記事は2026年7月27日時点の制度に基づく一般的な解説です。控除額・社会保険の認定基準は年分や保険者により異なります。個別の判断は、必ず税理士・所轄の税務署・加入先の健康保険にご確認ください。