「暗号資産で利益が出た。でも、会社には知られたくない」副業を禁止している会社なら、暗号資産で稼ぐことも「副業にあたるのではないか?」不安になりますよね。
確定申告をしたら、税務署から会社に連絡がいくのでしょうか?
結論、「会社に連絡はいきません。」
会社に知られる経路は、制度の上ではひとつだけ。

住民税の「特別徴収」という仕組みです。
特別徴収のことを知らないまま申告すると、6月の給与明細で経理に気づかれてしまいます。
この記事では、確定申告書 第二表で「自分で納付」を選ぶ3ステップを解説します。「自分で納付」を選んでも、会社経由で住民税を納めることになってしまう落とし穴も4つ紹介します。
この記事を読めば、正しく確定申告したうえで、会社に知られずにすむでしょう。
暗号資産の利益が会社にバレる経路は住民税だけ 第二表で防げます

暗号資産で利益がでたとき、住民税だけを会社から切り離して自分で払うことは可能です。確定申告書には、自分で払うための欄が用意されています。
会社員の住民税は、会社が毎月の給料から天引きしています。

特別徴収というものだな。
暗号資産で利益が得た分も、同じように天引きされます。給料は変わっていないのに、天引き額だけが増えるので、会社に気づかれるという訳です。
申告書は第一表と第二表の2枚組。
その2枚目(第二表)に「住民税に関する事項」という欄があります。
「住民税に関する事項」欄で「自分で納付」を選びます。暗号資産の利益にかかる住民税は、会社から天引きされません。
住民税は自宅に届く納付書で自分で払います。

普通徴収という支払い方法ですね。
住民税が増えると会社の給与天引きの際に気づかれます

住民税の額を計算するのは、会社ではなく市区町村です。
計算結果が会社に届くまでに、3つの段階があります。
- 確定申告をすると、給与と暗号資産の所得が市区町村で合算されます
- 市区町村は毎年5〜6月、税額を書いた通知書を会社に送ります。
「特別徴収税額決定通知書」という書類です - 経理担当者が住民税の天引き額を設定します。
担当はあなたの収入が給与だけと想定しているので、住民税の税額が大きいと、ほかに収入があると気づかれます。
利益の10%に住民税はかかるので、金額パターンを表にしました。
- 利益20万円 → 住民税が年2万円増える → 天引きが毎月およそ1,600円増える
- 利益50万円 → 住民税が年5万円増える → 天引きが毎月およそ4,200円増える
- 利益100万円 → 住民税が年10万円増える → 天引きが毎月およそ8,300円増える
給料は去年と同じなのに、住民税の天引きだけが毎月数千円増えます。この額が多いほど、経理担当者は気づきやすくなります。

住民税の10%は「所得割」の税率で、所得税は別にかかります。
増えた住民税が会社経由で徴収されることで気づかれますので、暗号資産の利益で増えた分の住民税を、会社を通さずに自分で払えば会社にはバレません。
| 特別徴収(原則) | 自分で納付(普通徴収) | |
|---|---|---|
| 納め方 | 会社が給与から天引き | 自宅に届く納付書で自分で払う |
| 回数 | 6月〜翌5月の12回 | 原則、6・8・10・翌1月の年4回 |
| 会社への通知 | 税額が会社経由の通知に載る | 暗号資産分は会社の通知に載らない |
| 税額の合計 | どちらを選んでも同じ | |

でも、マイナンバーで筒抜けになってるんじゃないの…?

それは誤解だ。マイナンバー制度では、会社に個人の所得情報が通知されることはないぞ。
暗号資産の利益にかかる住民税を「自分で納付」する3ステップ

紙の申告書でも、スマホやパソコンの申告でもやり方は同じです。
- 確定申告書 第二表の「住民税に関する事項」を開きます
- 給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄があるので、「自分で納付」を選びます
※何も選ばないと全額が特別徴収になるので注意 - 6月ごろに自宅に住民税の納付書が届着ます。普通徴収は6月・8月・10月・翌1月の年4回払いか、一括払いをします。
分割でも一括でも最終的に納める金額は変わりません。
「自分で納付」を選んだあと、本当に反映されたかどうかは通知書が自宅に届くまでわかりません。

心配な方は市区町村の住民税担当課に電話してください。申告後の4月下旬〜5月上旬がタイミングです。
通知書の発送前に、「自分で納付を選びましたが、反映されていますか?」と聞くだけです。
確定申告そのものの手順は暗号資産の確定申告ガイドをご覧ください。
暗号資産の利益20万円以下でも、住民税の申告は必要です

20万円ルールに当てはまる人も、市区町村への住民税の申告は必要です。

20万円ルールとは、給与以外の収入が年20万円以下なら確定申告をしなくてよいという特例です。
この特例は所得税だけの決まりで、住民税には適用されません。
住民税の申告書には、多くの自治体で徴収方法の選択欄があります。様式は自治体ごとに違いますので、窓口で聞いてください。
「給与以外の分の住民税は普通徴収にしたい」と伝えれば大丈夫です。
「自分で納付」を選んでも会社経由で住民税が支払われる4つのパターン

実は住民税の「自分で納付」を選んでも、会社経由で住民税が引かれてしまうケースがあるのです。
① バイトの掛け持ちの給与所得は「自分で納付」を選べません
この欄で選べるのは、給与・公的年金等「以外」の所得だけです。
バイトの掛け持ちなどの給与所得は「自分で納付」から除外されて、住民税は本業の特別徴収に合算されます。
暗号資産の利益は「自分で納付」が選べます。
② ふるさと納税をした年は、「自分で納付」を選んでも住民税は会社から天引き
副業などの給与以外の所得がある場合、住民税の申告時に「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、その分の住民税は会社を通さず、自宅に届く納付書で支払うことができます。
ところが、ふるさと納税をした年は事情が変わります。ふるさと納税による住民税の控除(減額)は、まず「自分で納付」を選んだ給与以外の所得分の住民税から差し引かれる仕組みになっているからです。
給与以外の所得分の住民税が控除によって相殺されると、自分宛ての納付書は届かず、残りの住民税はすべて給与からの天引き(特別徴収)で支払うことになります。
具体例で見てみましょう。
- 暗号資産の利益:10万円
- 暗号資産の利益にかかる住民税:約1万円(税率10%)
- その年のふるさと納税:5万円(住民税から引かれる控除は約4万8,000円)
ここで落とし穴になるのが、控除の引かれ方です。ふるさと納税の控除は「給与分から」「給与分以外から」と分けて引かれるのではなく、住民税全体からまとめて引かれます。

この例では、給与所得以外の住民税1万円は、ふるさと納税の控除4万8000円の中で相殺される。
残り控除の3万8000円が給与分の住民税から引かれます。
なので納付書は届かず、住民税は全額が会社経由(給与天引き)で処理されてしまいます。
会社に届く住民税の通知には、ふるさと納税控除後の金額が反映されるため、「住民税が多いな」と気づかれるキッカケになるのです。
ふるさと納税を申告をした年は、「自分で納付」を選んだだけで安心せず、事前に市区町村の住民税担当窓口へ「副業分を普通徴収にできるか」を確認してください。
③ 選び忘れると、全額が会社経由になります
普通徴収などの徴収方法を何も選ばなければ、全額が特別徴収になります。
紙で申告する人は、第二表の記入漏れが多いです。徴収方法を選んでなければ、作成コーナーのスタッフは住民税の画面を初期設定のまま進めてしまいます。

提出前に第二表の控えは、必ず見返してください。
④ 自治体によって住民税の徴収の運用方法が違うので電話で確認が必要
徴収方法を最終的に決めるのは市区町村です。
どんな場合に普通徴収を認めるかは、自治体ごとに差があるので、事前にで確認しておくことをオススメします。
暗号資産の利益にかかる住民税と会社バレのよくある質問

Q. 「自分で納付」を選んだのに、会社の通知に載っていました
まず市区町村の住民税担当課に連絡してください。
年度の途中でも、徴収方法の変更を相談できる場合があります。
Q. 損失しか出ていない年でも、暗号資産取引していることが会社に伝わりますか?
損失なら住民税は増えません。そもそも税額から推測される要素がありませんので、会社には伝わりません。
現行の制度では、暗号資産の損失を給与と相殺できません。
翌年に繰り越すこともできません。
※2028年に始まる見込みの分離課税では、3年間の繰越控除が導入される予定です。
Q. 住民税以外で会社にバレるルートはありますか?
制度の上での主なルートは住民税です。意外と多いのは実際自分から話してしまうケースです。
家族の扶養の手続きから伝わることもあります。年末調整に書いた内容と、実際の所得が食い違う場合にバレる可能性があります。
利益が出て嬉しくても自分の中だけにとどめておきましょう。
Q. 会社を辞めた・転職した年はどうなりますか?
退職すると給与天引きができなくなるので、残りの住民税は普通徴収に切り替わり、自宅に納付書が届きます。
転職した場合は、新しい会社の特別徴収に引き継がれるのが一般的です。
会社にバレずに暗号資産の利益にかかる税金を納めるチェックリスト

- 会社に知られる主な経路は住民税の特別徴収です。
マイナンバーで所得が会社に通知されることはありません - 確定申告書 第二表で「自分で納付」を選びます。
- 暗号資産の利益は「自分で納付」を選べますが、掛け持ちバイトの給与は選べません。
- 損失・大きな控除・ふるさと納税がある年は、「自分で納付」を選んでも会社経由になることがあります。事前に市区町村へ確認してください
- 申告後、4月下旬〜5月上旬に市区町村へ電話で確認します
徴収方法の選択は国税庁 確定申告書等作成コーナー:住民税の徴収方法の選択で確認できます。運用の詳細はお住まいの市区町村のホームページをご覧ください。
申告が必要かどうかの判定は20万円ルールの記事で確認できますので、詳しくは知りたいかたは読んでみてください。
※本記事は2026年7月27日時点の制度・様式に基づく一般的な解説です。
住民税の徴収方法の運用は市区町村により異なります。
個別の判断は、お住まいの市区町村・税理士・所轄の税務署にご確認ください。